金曜日はびっくりした。
イギリスのEU離脱が国民投票によって確定したからだ。
おかげで株式市場は大暴落、為替市場も円安の局面になってしまった。
しっかし不思議にイギリスから遠く離れた日本で何でこんなに影響があるんだろうか?24日の主要国の株価変動率はこのようになっている。
-7.92% 日本(東証)
-6.82% ドイツ(DAX)
-6.24% フランス(CAC)
-3.39% アメリカ(NTダウ)
-3.15% イギリス(FT)
-2.95% ハンセン(香港)
-1.30% 上海(中国)
笑っちゃうよね。日本が一番株価が下がってる。他人事じゃなかった。
まぁそれだけ日本の株式市場や日本円が外資から遊ばれているからでしょうな。
おかげで年金を運用するGPIFの損失もハンパないことになってるだろう。
個人的に気になったのがシニア層VS若年層の件
さてさて、世界中に大きなショックを与えたイギリスの離脱問題だけど、僕としては結構気になる点があった。
それは、投票した年齢層による支持と投票率の違いだ。
BBC NEWS JAPANによると世代間による投票率が全然違うらしい。
年齢が高いほど、投票する傾向も高いのは確かに事実だ。2015年総選挙では65歳以上の投票率が78%だったのに対して、18~24歳は43%、25~34歳は54%だった。
さらに投票率の高いシニア層の傾向として「EU離脱」を希望したんだから確かに残留派には分が悪いだろう。イギリスも日本ほどではないにしても高齢化社会で、人口ピラミッドはもう「ピラミッド」と呼べたものじゃないからね。
つまりは今回の投票、老年層の意見が反映されたわけだ。
これに対して色々な意見がある。
・シニア層が若者の時代を奪った
・投票に行かない若者が悪い
・後先短い高齢者が国の将来を決めることに大きな影響力を持つべきではない
・高齢者は長く生きている分、正しい選択をする
・国民には強制的に投票させるべきだ
僅差の結果だっただけに、イギリス国民にはわだかまりが残るだろう。
傍から見てると、EUを離脱することでイギリスの経済的なダメージがかなり大きいとは思うんだけど、実際にイギリスに住んでいる人からすると、そう簡単な問題ではないらしい。
イギリスの中にあるアンチEUの感情
イギリスはEU内で共通で使える通貨であるユーロを採用せず、頑なにポンドを使い続けている。これは昔ジョージ・ソロスにかき回されたことがあってのことだけど、やっぱりイギリスはどこかでEUの中でも特殊な存在という印象を受ける。
イギリス人もきっとそう思っていることだろう。
だけどEUに加盟していると、どうしてもEUの政略に付き合わないといけない。
敗戦国ドイツを贔屓にする金融政策、EUの中の後進国への援助等、イギリス側の負担も大きいのだ。
更に追い打ちをかけたのが移民問題。
先進国のイギリスには、EU内の後進国から、中東からの移民が多数やってくる。
その現状についてイギリス在住に日本人「めいろまさん」のツイートが凄く勉強になった。少しご紹介させてもらおう。
日本のイギリス国民投票報道は、イギリス国民がヨーロッパをどう見ているかなど情緒的な部分に集中していたりするが、実際は理由はもっと複雑で、移民、医療、福祉、経済、雇用等様々な要因が投票行動の決め手になっている。
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
これ以上病院と電車が混むのは困るのでさっさと離脱していただきたい
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
EU国籍さえあれば病院無料、子ども手当もらい放題もおかしい。カナダ人やアメリカ人、日本人、タイ人は、博士号あったり技術者でも就労許可を取らなければならないし、永住権取るまでは福祉も受けられない。EU国籍なら無職でもDQNでもビザ必要なし、福祉受けまくりはおかしい。
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
イギリスの庶民的には、なぜEUを脱出したいかというと、EUから人が山の様に来てしまって、病院や電車が混む上に、学校の教室が足りないから。年に18万人も来る。そして帰らない。ビザいらないので。ブルガリアとルーマニアからは年に5万人も来る。月収5万円ぐらいの国だから皆イギリスに来たい
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
イギリスの庶民的には、ガイジンが増えるから困るというよりも、「人」が増えて色々困っているというのが正直な感想。ここの人達はガイジンには慣れているし寛容。ただEUからこんなに人が来るとは誰も予想してなかった。政府の予測は大外れだった。自治体が耐え切れない状態になっている。
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
(再掲)イギリスEU離脱に関する補足情報。今回の離脱の最大の引き金はギリシャ金融危機と難民問題。イギリスへの移民は年に30万人、EUから18万人。EUからくる人はビザ不要、誰でも住めて医療費学校福祉無料。政府予測大外れで病院や学校がキャパオーバーで市民生活直撃で皆うんざり
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
イギリス病院キャパオーバーの事例。ER待ち時間は4-7時間。EUからの移民激増で誰でも治療無料の国立病院患者激増で検査は数カ月待ち当たり前。人で不足で手術キャンセル日常。小児科病棟でも1歳にレンジでチンの冷凍食品。出産退院一日。昔は一週間入院。外国人には税金で通訳つける
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
移民激増のイギリス。年に24万の新築住宅必要だが人増え過ぎで年に17万件しか建てられない。住宅不足で持ち家も賃貸も値段激増。公営住宅は順番待ち。ロンドン郊外給料半分以上家賃。新卒若者中古1DK購入頭金貯めるのに24年労働必要。需要激増で供給追いつかない。だからEU離脱希望多数
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
EU加盟国。スペイン、イタリア、ギリシャは若者ひどい失業率。大人も仕事なし。新規加盟東欧諸国、月収4-6万円、田舎は現金収入月5千円とかのレベル。それらの国からイギリスへ稼ぎに来る。最低賃金でも月収25万。英語通じる上ガイジンにオープン。言葉分からないドイツやフランスに行かない
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
イギリスで実際に起こって庶民が激怒した件。ルーマニアのマフィアがイギリスで子供手当をもらってルーマニアに送金。EU国籍さえあれば福祉が受けられるので子ども手当も受けられた。ルーマニアど田舎では大変な金額。これは大変な問題になった。
— めいろま (@May_Roma) 2016年6月24日
移民を優遇しすぎたためにイギリス国民が損な役回りを演じているのが現状なのだろう。こういった現地の人の意見を聞くと、EUから離脱して自分たち国の独自のルールで移民を制限したいと思う気持ちは僕にも理解できる。
幕は切って落とされた
さてさて、今回のEU離脱問題。
単にイギリスがEUから離脱するという話には終わらないだろう。
なぜなら、EUにとっては結成以来初めての離脱国を出してしまうという結果になったからだ。EUの固い結束が破られたのだ。
今後はEUが気に入らないと思う国は国民投票して出ていきやすい土台が出来上がってしまった。特にEU内で足を引っ張られて困っている先進国なんかはそう思う傾向になりやすいだろう。
加えて、イギリス:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国内の分裂も心配だ。既にスコットランドもアイルランドもEUに残留するためにイギリスから独立したいという声が上がってきている。
長く長く続いた戦乱のヨーロッパで、ようやく一つの連合が出来たのに、それも短期間で瓦解するのだろうか?今後を見守りたいと思う。