[書評]言ってはいけない 残酷すぎる真実

これを読んで怒る人もいるかもしれない

みんながうっすらと気づいているけど、あえて口に出さない方がいいことがある。

この本は、そんなことを敢えて取り扱う「不愉快になる」本だ。
実際に前書きでこうかかれている。

「最初に断っておくが、これは不愉快な本だ。だから、気分良く一日を終わりたいひとは読むのをやめた方がいい。」

人種差別のない世界を・・・と活動する人たちがいる。
男女差別を許さないフェミニストがいる。
子供たちに平等に教育の機会を・・・と頑張る人たちがいる。
上記の事などから利権を手に入れ、甘い汁を吸っている者がいる。

そんな人たちにとってこの本は受け入れがたい内容だろう。
自分たちの信念を真っ向から否定し、覆す科学的根拠を並べているのだから。

取り扱っている内容を目次より抜粋させてもらおう。

I 努力は遺伝に勝てないのか
1:遺伝にまつわる語られざるタブー
2:「頭がよくなる」とはどういうことか――知能のタブー
3:知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人
4:進化がもたらす、残酷なレイプは防げるか
5:反社会的人間はどのように生まれるか

II あまりに残酷な「美貌格差」
6:「見た目」で人生は決まる――容貌のタブー
7:あまりに残酷な「美貌格差」
8:男女平等が妨げる「女性の幸福」について
9:結婚相手選びとセックスにおける残酷な真実
10:女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?

III 子育てや教育は子どもの成長に関係ない
11:わたしはどのように「わたし」になるのか
12:親子の語られざる真実
13:「遺伝子と環境」が引き起こす残酷な真実

どれが気になる項目があるだろうか?
一つでもあれば、読んでみることをお勧めしたい。

進化学と遺伝学の発達によって、先天的な要素の大きさが判明しつつある

「人は素っ裸で産まれて来るんじゃない」

本を読んで、僕はこのことを強く意識させられた。
僕たちは人種、性別、そして親の遺伝子を引きついて生まれてくる。

それでもこの社会は、自分たちが生まれた時に持っていたモノ(才能)よりも、生まれてから獲得したモノ(知識・技術)の方を高く評価する。そりゃ当然だ。産まれつき持った才能とか障害なんかはどうしようもないから。

でも科学的な裏付けがなくとも、こんなことは誰もが気づいていた。

運動神経の良い親の子供は運動神経が良い
歌が上手い親の子供は歌が上手い。
知能の高い親の子供は知能が高い。

必ずしもこうなるわけじゃないけど、その傾向はある。
「お父様に似て頭がいいのねぇ」なんてセリフ、聞いたことあるもん。

でも逆を言えばこういうことだ。

親が運動音痴ならの子供は運動音痴。
音痴の子は音痴。
馬鹿親の子供は馬鹿。

さすがにこれは声を大にしては言えないけど、反対から見た事実でもある。
残酷だけど、これも正しいんじゃないかな。

公平な教育とはなんだろうか?

僕が中学生の頃、数学の先生が数学が苦手な生徒に対して、「なんで同じ先生から同じ授業を受けてるのにこんなに差がでるんだ!」と、頻繁に怒っていた。

その先生は60歳を過ぎていて、一度定年退職して戻ってきた経験豊かな先生だ。定年前は校長もやっていたらしい。

僕はきっとこの先生は数学が苦手な生徒を鼓舞する為にこんな発言をしたのだと思いたい。だって、そんなに長く教育者をやっていたら、人には得手不得手があることぐらいわかってるだろうに。家庭訪問で生徒の家を見て、親と対談した時にきっと色々と感じ取ってしまった経験はあるだろうに。

でも、人は生まれながらに知能や学習能力に差があって・・・なんてことを教育業界が認めることはないだろう。ただでさえ少子化で厳しいのに、これ以上ビジネスを縮小させられない。

特に知能と学習能力に関してはタブー視されがち

現代社会は、学歴社会だ。日本だけじゃない、先進国ならどこでもそうだ。

頭が良いことが、運動能力、絵心、歌唱力等が高いことよりも重要視される世の中だ。だからこそ、人は知能や学習能力に関しては誰もが平等だと思いたい。

そうじゃないと、努力して勉強する意義すら薄れてしまう。
「どうせ俺は頭悪いから・・・」とすぐに諦めてしまうことになる。

この辺が難しいところだろう。
誰もが「自分には才能がない」とすぐに諦めたら世の中はおしまいだから。

努力でカバーできる部分も多少なりにあるんだから・・・。

橘玲氏の本は結構面白い

僕は橘玲氏の本は結構読んだ。
読み続けると、「あ、このネタは以前の本と一緒だな」と思うこともあるが、それも復習と考えれば役に立つ内容が多い。

またレビューしたいと思います。

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